米国防総省が年末をめどに作成中の「核戦力見直し」(NPR)で、中国に対する抑止力を強化するため、現在ロシアに向けている戦略核ミサイルの照準のかなりを中国に移すよう勧告する見通しとなった。国防総省当局者が語ったもので、実現すれば、米国の主敵が名実ともにロシアから中国に変更される。 NPRは、現在策定中の「四年期国防見直し」(QDR)とともに、ブッシュ政権の新国防戦略の中核となる。国防総省が任命した諮問委員会(委員長=キース・ペイン公共政策研究所長)が草案を作成中で、米軍の新しい核戦力の規模や戦略が規定される。 七千五百発に上る米軍の戦略核ミサイルの多くは、冷戦後もロシアを攻撃目標としていたが、ロシアの凋落が著しいのに対し、中国が核戦力近代化を推進、数十年内に核超大国となり得るとの判断から、見直し案では、照準を中国各地の軍事、産業拠点に移すよう勧告するという。 現在、米本土に到達可能な中国の核ミサイルは二十発程度で、米国の核戦力とは圧倒的な格差がある。ブッシュ政権はミサイル防衛構想と照準変更によって、中国の戦略的封じ込めを図る構えのようだ。

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