情報公開 北海道ニセコ町の静かなる革命

執筆者:水木楊2001年9月号

 摂氏三十五度を越す炎天下の京都。その日、立命館大学衣笠キャンパス「以学館」に五百名を越す男女が続々と集まってきた。男性はノータイ、女性はジーンズ姿などのカジュアルな恰好で、下は二十代から上は六、七十代までの多様な集まりである。 第八回全国市民オンブズマン京都大会。毎年一回開かれる会議だが、この日は特別の意味があった。今年四月、情報公開法が施行されて初めての会議だったのだ。霞が関の中央官庁は情報公開請求に備えて一斉に窓口を設置。「民は知らしむべからず」ではないが、これまでファイリングボックスの奥深くしまい込んできた情報を、原則的にはオープンにする体制を一応整えた。 会場の正面には「公共事業は、うちらでしまつ」と記した横断幕が下がっている。会議冒頭、司会者が説明したところによれば、京都弁で「しまつ」とは「問題を解決する」という意味。「倹約する」という意味もあるという。 昨年の会議で設置した公共事業専門委員会の報告が始まる。情報公開法や自治体の情報公開条例を活用して、全国のオンブズマンたちが高速道路、港湾、空港、ダムの四つの公共事業について、その無駄を調査した結果である。 公共事業を始めるに当たっての需要予測が過大を通り越してほとんど幻想的だった事実が、次々明らかにされた。

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