公団を廃止しても、傘下の弱小開発会社を温存しては未来はない。元売りと開発会社の統合が日本の石油産業の生き残りに不可欠だ。 小泉政権誕生以来、廃止論の激流に巻き込まれた石油公団は八月末、二〇〇〇年度決算を発表した。公団批判の急先鋒である堀内光雄・自民党総務会長が、通産相時代に透明性拡大のために要求した傘下の石油開発会社すべてを連結した決算の初公開となったが、これが最初で最後の連結決算になる可能性が少なくない。 世界各地で「日の丸油田」を掘るため巨額の資金を業界に注入し続けてきた石油公団は、一定の開発実績をあげた一方で、日本の石油産業の自立を阻んできた面も大きい。皮肉にも公団廃止は戦後、日本が追い求めてきた“和製メジャー”づくりの第一歩になる可能性がある。 公団が発表した連結決算は、公団本体と傘下企業百七十九社(備蓄会社含む)を包含した損益計算書、貸借対照表などからなるが、会計概念が一般企業と違いすぎるため、これをみて日本の石油開発の収益、財務体質が浮かび上がってくるというものではない。むしろ興味深いのは「石油開発事業に係る長期損益見込み」と題された収支シナリオだ。これは油田開発の収益のカギを握る原油価格と為替レートを様々な水準に仮定し、公団が今後三十年間に出資・融資した事業からどれだけの収益を得られるかを試算したものだ。

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