七月末の参院選で党勢拡大を果たせず、意気消沈の日々を送っていた民主党の鳩山由紀夫代表が、見る見る精気を取り戻したのは八月末から九月初め、秋の足音がはっきりと聞こえてきた頃だ。 失意の党首にエネルギーを吹き込んだのは、悲鳴を上げるように次々と大台割れをきたした各種の経済指標だった。総務省が八月二十八日発表した七月の完全失業率がその第一弾。失業率は前月より〇・一%上昇し五・〇%と、一九五三年の調査開始以来初の五%台に突入した。翌二十九日は東証平均株価。前日より二〇〇円以上急落し、終値で一万〇九七九円七六銭と、約十七年ぶりに一万一〇〇〇円台を割り込んだ。その後も株価は続落、バブル崩壊後最安値を更新し続ける。 九月六日には米国の格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが、日本政府が発行、保証する円建て国内債券の格付けを引き下げる方向で見直すと発表。先進七カ国(G7)で最低のイタリアと同じ「Aa3」ランクに格下げされる見通しとなった。そして、翌七日の今年四―六月期の国内総生産(GDP)速報値の発表。実質で前期比マイナス〇・八%、年率換算でマイナス三・二%の数字は、小泉内閣発足以降の景気失速を如実に物語っていた。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。