「党刷新どころか明らかな人事抗争」(民主党幹部)――。鳩山由紀夫民主党代表は熊谷弘幹事長代理を国対委員長に起用する一連の人事を断行、七地域ブロック制などの機構改革に着手した。鳩山代表は熊谷氏起用について九月五日の記者会見で、「戦いの場が国対なので、自民党を知り尽くした男を起用した」と語ったが、実際には熊谷氏を党務からはずすことが狙いだったと見られている。 ことの発端は八月十七日の軽井沢での鳩山代表、菅直人幹事長の秘密会談。鳩山代表はこの中で「四人組」の更迭を打ち明けた。四人組とは、熊谷氏のほか仙谷由人前企画委員長、佐藤敬夫前選挙対策委員長、川端達夫組織委員長。鳩山代表は参院選敗北の原因が「四人組」の専行にあると判断、一年前は幹事長への「権力集中」を懸念して幹事長代理をおいたが、今回は一転、代理ポストをはずし菅幹事長執行体制強化を画策した模様だ。熊谷氏は参院選の資金配分を菅幹事長に相談せずに決定するなど、両者の確執が表面化していた。 鳩山代表は八月二十五日にも、羽田孜特別代表に四人組更迭構想を打ち明けて了解を取り付けている。羽田グループは参院選後の参院幹事長人事で同グループの北沢俊美氏が熊谷、仙谷両氏が推した候補に敗北し、「寝首をかかれた」と反発していたため、羽田氏が鳩山提案を簡単に了承したであろうことは想像に難くない。

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