アメリカが重視する中国・ロシアの独自情報

執筆者:春名幹男2001年10月号

攻撃遂行にあたって、アメリカは中国、ロシアとの情報交換を活発化させている。恐ろしいのは、情報面での「ジャパン・パッシング」の再現だ。連載「インテリジェンス・ナウ」拡大版。 小泉純一郎首相がホワイトハウスを訪問してブッシュ大統領と会談した九月二十五日、人目をはばかるようにして、中国国家安全省のテロ対策専門家がワシントン入りした。米中央情報局(CIA)などの専門家と情報交換するためである。「協議は有益だった」――米中協議に出席した米情報当局者はそう述べ、この異例の会合に満足の意を表明したという。「中国核スパイ疑惑」でワシントンが揺らいだ二年前には想像もできない光景だ。 実はこの日の表舞台である日米首脳会談で、ブッシュ大統領は、日本の具体的なテロ対策貢献策について、特に何も要請しなかった。アメリカは当初から、情報協力では日本に期待していない。そもそも日本はアメリカが必要とする情報など持っていないからだ。 それでは、米中枢を狙った同時多発テロの主犯オサマ・ビン・ラディンとそのテロ・ネットワーク組織「アル・カエダ」、さらにアフガニスタンのタリバン政権に対する報復攻撃・情報工作で、ブッシュ政権が協力を最も期待している国は、どこか。

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