リコール隠しが発覚して以降、低空飛行を続ける三菱自動車工業に対するダイムラークライスラーの締め付けが一層厳しくなりそうな気配だ。というのも、九月末に開かれたダイムラーの監査役会で、情け知らずの豪腕で知られるユルゲン・シュレンプ会長と、これまたシュレンプ氏の懐刀といわれるユルゲン・フッバートメルセデス・ベンツ、スマート総括取締役の二〇〇五年までの続投が決まったからだ。 一時は、クライスラーとの合併失敗と、巨額の負債を抱える三菱自動車との提携によるイメージダウンを理由に、一線を退くともみられていたシュレンプ会長だが、周囲を味方で固めた結果、政権をあっさり維持してしまった。成長戦略のなかなか見出せない三菱自動車にとっては、シュレンプの右腕ともいわれたロルフ・エクロートCOO(最高執行責任者)を迎え入れているものの、これは、シュレンプからいつさらなるリストラ策を要求されるか、戦々恐々の日々が今後しばらく続くことを意味している。 園部孝社長の提案で欧州統括会社の社長に、十月一日付けでフォルクスワーゲンからシュテファン・ヤコービ氏を迎え入れるなど、対ダイムラー対策ともとれる首脳人事を決めたが、ダイムラーの一層の攻勢に対する危機感はぬぐえないままだ。

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