アフガニスタンのタリバン政権が「聖戦」への参加を望む隣国パキスタンからの義勇兵を「決死隊」に仕立て上げる戦略を固めたとの見方が、米国やパキスタン情報当局の分析で高まっている。 タリバンは従来、武器、弾薬や食料の配給が負担になることや、米国のスパイが紛れ込む可能性に神経をとがらせ、国境に集結する義勇兵の入国を阻んでいた。だが、ここに来て多数を受け入れ始めた。 こうした義勇兵の主な配備先は、米国の支援を受けた北部同盟が攻勢をかけている激戦地に限るというのがタリバンの思惑。オサマ・ビン・ラディン直属の精鋭は温存して、こうした義勇兵の犠牲でできる限り時間を稼ごうというのだ。 義勇兵を空爆が激しい前線に張り付けておけば、確実に紛れ込んでいるとみられる米国側スパイが、ビン・ラディンの所在にかかわる機密情報に接することも回避できる。 これまでに、パキスタンからアフガニスタンに流入した義勇兵の数は一万人近くに達した。米国は、ある程度の義勇兵の越境は、情報収集にも有利とみていたが、これら兵士を捨石とするタリバンの姿勢を見抜き、パキスタンに対して越境阻止の圧力をにわかに強めている。

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