今年七月末に就任したばかりのトレド・ペルー大統領に、早くも「公金横領疑惑」が持ち上がっている。 同大統領は九月から欧米各国を歴訪、十月には上海で行なわれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議にも出席したが、リマの消息筋によれば、この一連の外遊に親族や友人などを多数同行させ、その費用を公金から支払わせたというのだ。 私的に流用された金額は、宿泊費から飲食代、はてはおみやげ購入代金まで数百万ドルに上るとされる。フジモリ前大統領が夫人と離婚して以来、外遊の際ファーストレディーの代わりに娘や息子を同行させたことがあるが、トレド大統領はこれを“拡大解釈”したとみられる。 消息筋は「今回は公私混同が露骨だったため、官邸から内部告発があったようだが、今はフジモリ前大統領糾弾一色で、政治問題になりそうにない」と語っている。しかし、国民一人当たりの国内総生産(GDP)が年間二千四百ドルというペルーにあって、月給一万八千ドルもとるトレド大統領の金銭感覚に批判の目が向けられているだけに、今後の成り行き次第ではスキャンダルと化す可能性もある。

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