産経新聞が来年四月から夕刊を廃止することを発表した。不況が長引き、読者の新聞離れが進むなか、経費のかかる夕刊をやめたいのは各社同じで、どこが先陣を切るかが注目されていた。それだけに産経の決断が業界に影響を与えるのは必至。産経に追随する動きも出てきそうだ。 関係者によると、今期三十五億円を超す赤字が見込まれるなど産経の苦しい財務状態が夕刊廃止の直接の理由になったようだ。東京都内だけの夕刊発行部数は三十五万部と公称されているが、実際は二十万を切っており、夕刊を出せば出すほど赤字が累積する状況。ただし、部数が堅調な大阪本社管内は夕刊を継続させることにしており、産経新聞は東日本は朝刊のみ、西日本は朝夕刊という変則的な態勢をとることになる。 夕刊廃止が財務体質の改善につながれば、朝毎読など他の大手紙も座視してはいられない。実際、毎日新聞では、既に夕刊廃止のシミュレーションが検討されているという。 ただ逆に効果が出ない場合、懸念されるのは産経の行く末。社内からは「東京タイムズの二の舞いになるのでは」という声すら出ており、かねてからくすぶる読売新聞による買収の噂も現実味を帯びそうだ。

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