東京都板橋区の小学一年生が十月十五日に誘拐され、無事保護された事件は、翌朝に少年の姉が通う学習塾塾長が逮捕されるというスピード解決となった。野田健・警視総監ら警視庁幹部は久しぶりの幼児誘拐を無事に解決させて一息ついたが、重大局面で手痛い捜査ミスがなされていた。 警視庁捜査一課の現場捜査員が明かす。「容疑者は東武東上線ときわ台駅で少年を解放していたが、実はときわ台駅には捜査員を配置していなかった」。 犯人は、身代金受け渡し交渉の中で、「東武東上線の沿線で解放する」と語っていた。被害者宅の最寄り駅は同線の大山駅で、解放現場のときわ台駅との間はわずか二駅。最寄り駅の前後数駅に捜査員を配置するのが捜査の常道である。 なぜこのような初歩的なミスを犯したのか。捜査員が言う。「久しぶりの誘拐で刑事部長や捜査一課長ら幹部がすっかり舞い上がってしまい、指示しきれなかったようです」。 結果的には逮捕できたが、過去には取り逃がした誘拐犯が民家に立てこもるという「二次被害」を引き起こしたケースもある。警視庁は猛省すべきだ。

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