アフガン復興で日本は「中心」たりうるか

執筆者:嶋田弘道2001年11月号

過去の経緯もあり、日本政府はアフガン和平工作に深く関与する腹づもりだ。しかし、その「外交戦略」はあまりに脆弱。「タリバン後」には泥沼が待っている……。 米軍によるアフガニスタン攻撃と並行し、主要国やアフガン周辺国、国連の間では早くも、「タリバン後」の戦後復興構想に関する議論が本格化している。主要国の中でも、アフガニスタンの戦後復興プロセスへの参画にひときわ前向きなのが日本だ。十月二十日に上海で行なわれた日米首脳会談で、小泉首相が「日本は武力行使に参加できないが、復興にはできる限り協力したい」と表明すれば、ブッシュ大統領も「資金協力だけでない幅広い協力」を日本に要請した。アフガン問題に通じ、国際的な評価の高い緒方貞子・前国連難民高等弁務官を「アフガニスタン支援首相特別代表」に指名したことも、日本政府のアフガン復興支援にかける意気込みを如実に示している。 日本の積極姿勢に米国が早々と好反応を示したのは、日本外務省がアーミテージ米国務副長官を筆頭とするブッシュ政権の知日派グループに対し、周到な根回しを行なったためだ。上海での会談でブッシュ大統領は、日本がカンボジア和平・復興で果たした貢献を引き合いに出した。カンボジア和平は、日本が国際的イニシアチブをとって実現した、極めて数少ない独自外交の成功例であり、外務省にはアフガン復興を第二の「カンボジア」としたい思惑がある。日本が現段階で抱いているタリバン後の政権構想は、国連支援のもと、現在イタリアに亡命中のザヒル・シャー元国王を首班にアフガン国内の各民族が広く参画した連合政権を樹立するというもので、復興会議の東京での開催を提案していることも含め、シアヌーク殿下を中心とする連立政権を実現させたカンボジアのケースを明らかに下敷きにしている。

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