ドイツのボン郊外で九日間にわたって開かれた国連主催のアフガニスタン各派代表者会議は十二月五日、最終合意に達し閉幕した。 この会議招致にかけたドイツの熱意は並々ならぬものだった。アフガン各派約五十人の滞在費、会議運営費を全額負担し、会場兼宿舎としてボンから車で三十分ほどのペータースベルク山頂(標高三百三十一メートル)にある迎賓館をあてた。 当初、首都ベルリンのドイツ外務省を会場にする予定だったが、急遽、変更された。ドイツ外務省関係者は「宿営などのロジと治安面でベルリンは不安があった。特に治安確保はペータースベルクの方がはるかにすぐれていた」と語る。 山頂の迎賓館に通じるつづら折りの一本道は麓に検問所が設けられ、関係者以外、通行禁止となり、世界中から集まった記者団はライン河畔のホテルと、係留した大型船に設置されたプレスセンターに押し込まれた。 会議には国連関係者とアフガニスタン四派だけが参加。関係国の外交官は迎賓館脇の別棟に待機し、内部情報を取ろうと各派のアドバイザーや独自チャンネルを通じて外交合戦を繰り広げた。この点では舞台裏を取り仕切ったドイツが圧倒的に優位だったが、会議を成功に導くための気の配りようも並々ならぬものがあった。

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