三十年以上くすぶってきた伊藤忠商事と丸紅の合併説がまた流布されている。二〇〇〇年にも鉄鋼販売部門の統合で合併が取り沙汰されたが、今回の観測がより現実味を帯びているのは「伊藤忠による丸紅救済合併」という内容ゆえ。 伊藤忠は不良子会社の整理を九九―二〇〇〇年度に進め、九九年度に単体で千六百億円の当期損失を出したが、丸紅が同じような処理に動きだしたのは今年度になってから。しかも丸紅には、伊藤忠にとっての伊藤忠テクノサイエンスのように含み資産で本体を支えてくれる優良上場子会社がない。株価が百円を切る中で丸紅の経営不安は深まっている。鳥海巌会長こそ引責辞任するが、残る辻亨社長や直近四代の社長を送り出してきた物資部門への反発は激しく、人心離反が起きている。 両社幹部は「(事業展開が似通った)伊藤忠・丸紅では相互補完性が薄く、合併会社は人員過剰でさらに経営が悪化しかねない」と否定的だが、伊藤忠が吸収合併の形で主導し、思い切った事業選別をすれば三菱商事、三井物産に対抗できる存在になるとの見方もある。「カギを握るのは両社のメーンバンクであるみずほフィナンシャルグループ」(金融関係者)のようだ。

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