イスラエルのシャロン首相とパレスチナ自治政府のアラファト議長は不倶戴天の敵とされているが、実は今夏、過去のわだかまりを捨て、新しい関係を築くことを約束し合うほど、関係改善が進んでいたことがイスラエル政府筋の話で分かった。 両者の橋渡しをしたのは、アラファト議長と長年親交のあるイスラエルの実業家ヨシ・ギノサール氏。同氏は三月から六回にわたり、シャロン首相の意向を受け、アラファト議長と秘密裏に接触。このうち三回は同首相の二男オムリ氏が同席し、七月にヨルダン川西岸のラマラで行なわれた秘密会談では、パレスチナ過激派のテロ問題などについて、父親である首相の「本音」を説明した。 オムリ氏はパレスチナ問題に造詣が深く、人当たりが良いこともあってか、アラファト氏は大変気に入り、過去の憎悪と怨念を忘れ、率直に話し合いたいと父親に伝えるよう要請。その数日後にシャロン氏からも同意の回答があったという。 その後、十二月初めに起きたパレスチナ過激派の連続テロでイスラエルと自治政府の関係は再び悪化しているが、“オムリ・ルート”で両首脳の接触が行なわれる可能性はあるとエルサレムの消息筋はみている。

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