問題企業の「再生」が国を滅ぼす

執筆者:石山新平2001年12月号

「再建型」の倒産処理は、健全企業の足を引っ張るだけだ――。供給過剰の業界からゾンビ企業を叩き出し、経済構造の転換をはからねば、資本主義システム全体がモラルハザードを起こす。 十二月六日、東証一部に上場する準大手ゼネコン、青木建設が民事再生法の適用を申請、事実上倒産した。二年前に二千億円を超える債務免除、つまり借金棒引きを銀行から受けて再建に取り組んできたが、結局は行き詰まった。また、これに先立つ十一月二十七日には、同じく東証一部の中堅重機メーカー、新潟鉄工所が会社更生法の適用を申請し倒産。負債総額の二千二百七十億円はバブル型企業の破綻に慣れた目には小さく見えるが、製造業では戦後最大だった。今年に入ってからの上場企業の倒産は、マイカル、大成火災海上保険など十三社に及ぶ。 二〇〇一年四―九月の倒産件数(帝国データバンク調べ)は九千六百六十五件と、上半期としては戦後三番目。十月は千九百十一件とバブル崩壊後最悪の件数となった。不動産、ゼネコン、流通といったバブル業種だけでなく、機械やアパレルといったモノ作り企業にまで倒産の波は広がっている。大倒産時代真っ只中であることは間違いない。 倒産が増えている背景には、不況が深刻化しているのはもちろんだが、従来の会社更生法に加え二〇〇〇年四月から民事再生法という新しい法律が使えるようになったことが大きい。会社更生法は、会社が持つ資産や負債を保全したうえで、裁判所が再建にあたる管財人を選び、更生計画も裁判所が厳しく審査するなど、すべて法的監視の下で進められる。債権者にとっても納得のゆく公正さは担保されやすいが、いかんせん時間がかかり過ぎるという批判があった。

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