ラジオのニッポン放送がプロ野球・横浜ベイスターズの筆頭株主となることに対し、日本野球機構の川島廣守コミッショナー(七九)はいったんこれを認めながら、巨人の渡辺恒雄オーナー(七五)に怒鳴り込まれ、二週間であっさり白紙撤回を命じた。承認の撤回は「調査の結果」だというが、今回のケースが、同一球団による複数球団の株式所有を禁じた野球協約に抵触することは初めから明らか。無能をさらけ出した格好で、球界では「引責辞任して当然の失態」との批判すら出ている。 短現(短期現役海軍士官教育制度)あがりの主計大尉だった川島氏は、警察官僚から内閣調査室長、内閣官房副長官(田中・三木内閣)などを歴任。退官後は鉄建公団で総裁まで務めたが、一九七九年に同公団の不正経理事件(最高で年間三万件近くのカラ出張をでっちあげ、約三億円を着服していた組織的不正)で、当事者として更迭されている。ところが、八四年にセ・リーグ会長の座にすべりこみ、九八年には吉國一郎・前コミッショナーの後を襲った。 某球団幹部によれば、「キャンプの視察に来ても愚にもつかない挨拶をして帰っていくだけ」で、その姿勢は「明らかに読売寄り」。鉄建公団スキャンダルからの名誉回復は、同じ短現出身の中曾根首相時代のこと。読売グループを率いる渡辺オーナーは、その盟友だ。江川事件という前科持ちの読売に今後、野球協約違反があった場合、撤回を命じることができるだろうか?

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