昨年の十二月十四、十五の両日、ブリュッセルのラーケン宮で欧州連合(EU)首脳会議が開かれた。初日、議長国のベルギーが主催する晩餐会がもたれたのだが、そのメニューが実に面白い。 〈料理〉 白ビールを使ったウナギ風味のポタージュ、海老とクレソン添え ホウレンソウを詰めたホタテ、ワイン・ビネガーで シカの股肉の木の実添え、マスタードと ブリュッセルのワッフル 〈飲み物〉 シャンパン ボランジェ・マグナム ジャン・ルイ・グリッパ95年(仏) キャンティ・クラシコ98年(伊) ノーブル・レゼルヴ81年(墺) 私の手元にメニューがあるが、ベルギーの四方八方への気遣いが滲み出ている。まずメニュー表記はオランダ語、フランス語、ドイツ語、英語の四カ国語。EUの公式言語でないオランダ語でも表記したのは、ベルギー北半分のオランダ語圏のフラマン系住民に対する配慮からである。 ワインも一カ国だけで固めず、フランス、イタリア、オーストリア産を配した。スペイン産ワインを出さなかったのは、今年一月からスペインが議長国となるから、との判断だろうか。フランスの白ワインは南のコート・デュ・ローヌ地方、オーストリア産の貴腐ワインはデザートに合わせた。

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