始動するバーミヤンの仏像再建計画

執筆者:サリル・トリパシー2002年1月号

昨年春、タリバンが破壊したアフガン文化の貴重な遺産を取り戻すべく、スイスの映画製作者と建築家が立ち上がった。[ロンドン発]一国の過去を否定し、その歴史的遺産を破壊するのは、民衆を服従させるための古典的な手法だ。中世ヨーロッパでは、もっぱら図書館が略奪の対象とされた。タリバンがアフガニスタンを実効支配していた当時、アフガン文明に対して行なった攻撃もこれとよく似たものだった。 最も大がかりな攻撃が行なわれたのは昨年の三月。タリバンは、国際社会の批判をものともせず、二千年近く風雪に耐えてきたバーミヤンの二体の大仏を破壊した。仏像はいずれもイスラム文明以前の遺物であり、異教徒による偶像信仰の象徴であるというのが、その理由だった。 高さ五十三メートルの大仏は、いにしえのアレキサンダー大王の遠征に同行したギリシア人彫刻家の末裔によって、紀元二〇〇―四〇〇年頃に作られたとされる文化遺産であり、ユネスコは、タリバンの仏像破壊を「文化に仇なす犯罪」、「全世界にとっての悲劇」であると断じた。 だが、タリバン政権が崩壊した今、バーミヤンの大仏の喪失を嘆く者たちに希望の光が差している。映画製作者であり起業家でもあるスイス人のバーナード・ウェーバーなる人物が、大仏再建のための資金集めに立ち上がったからだ。

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