マクドナルドに代表されるファストフード・チェーンが世界を席巻している。しかし、店舗単位での売り上げは減少し、投資家も将来性を疑い始めている。 アメリカでは、成人の四人に一人が毎日ファストフード店で食事をするという。ファストフードの代表格ともいえるマクドナルドは百二十一カ国に約三万店舗を広げ、総売り上げ四百億ドルを誇る世界最大規模のレストランチェーンとなった。一九七一年にマクドナルドの一号店ができた日本にも全国各地に三千七百店舗が存在し、いまや日本はアメリカに次ぐ世界第二のファストフード消費国となっている。 だが、十八カ国で翻訳出版されベストセラーとなっている『ファスト・フード・ネイション(邦題=ファストフードが世界を食いつくす)』(草思社刊)の筆者、エリック・シュローサー氏は、“ファストフード帝国”の終焉は近いと見る。その理由は何なのか、話を聞いてみた。食習慣に深く根ざしていない ――ファストフード業界を「大英帝国」に喩えていますね。 シュローサー 世界地図で見ると、その広がりは圧倒的かもしれない。でも、内実を子細に見ると弱さを内包している。そこが似ているのです。ファストフード業界がビジネスのやり方を変えない限り、今後五年から十年の間に、廃業に追い込まれる企業が必ず出てくるでしょうし、マクドナルドも現在のビジネスをそのまま続けられるとは考えられません。

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