米国景気に「二番底警報」

執筆者:川原吉史2002年2月号

同時テロのショックは、戦争特需と低金利で辛うじて吸収されたに過ぎない。経済の深みに垣間見える在庫と債務の山。米国はデフレの泥沼にはまるのか――。[ニューヨーク発]米軍需産業が活況に沸いている。二〇〇一年十―十二月期決算ではノースロップ・グラマンの売上高が一年前の倍近くになったほか、ゼネラル・ダイナミクスは一二%増益。軍事通信を手掛けるL-3コミュニケーションズも四割超の増益となった。主要五百社が二割を超える減益に見舞われる中で、唯一といっていいほど気を吐いた。 米同時テロから四カ月余り。米ブッシュ政権が対テロ戦争に投じた資金はこれまでに約四百億ドル。十月から始まる二〇〇三会計年度の国防予算を四百八十億ドル増額して三千七百九十億ドルにすることも求めており、ブッシュ政権は戦時色を薄める気配をみせない。 一月三十日、米市場はあっと驚いた。昨年十―十二月期の実質国内総生産(GDP)がわずか〇・二%とはいえ、プラス成長になったからだ。市場予想のコンセンサスは一・一%のマイナス。誰もが七―九月期のマイナス一・三%に続いてマイナス成長となり、景気後退がはっきりすると思っていただけに、びっくりするのは当然だった。

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