ミャンマー政府がロシアから研究用原子炉の技術協力を受けることが決まり、二〇〇三年の完成を目標にミャンマー国内で十メガワット規模の原子炉を建設するという。 ミャンマー政府は、民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんに対する弾圧を理由に強硬姿勢を続ける米国と対抗するため、かねてから中国やロシアとの外交関係を強化していた。ロシアの技術供与による原子炉建設が決まったことで、米政府は東南アジアでの核開発競争が激しくなること、および同地域におけるロシアのプレゼンスが拡大することに懸念を抱き始めた。 また、今回の原子炉建設は中国にとっても大きな衝撃で、ミャンマーを巡る露米中三カ国の競争は、今後、激化しそうな気配だ。 当のミャンマー政府は、原子炉建設をテコにロシアとの関係を発展させると同時に、中国からは経済支援と海軍力増強での支援を期待し、一方でスー・チーさん率いる国民民主連盟(NLD)幹部の拘束を順次解くことで米国からの支援も引き出そうとするなど、三大国のパワーゲームを利用してうまく立ち回ろうとしている。軍事政権のしたたかさに大国が振り回されるばかりとは思えないが……。

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