日中国交回復三十周年の今年、双方の往来活発化が予定されている。五月に中国観光友好交流青年団五千人が来日、日本側からは六月のGLAY北京公演の際に一万人、九月には旅行業界友好交流団一万人が訪中、三十周年当日の九月二十九日には与党三党の代表者を加え友好七団体が参加する祝賀レセプションが人民大会堂で開かれる。 要人交流も盛んで、四月上旬の李鵬全国人民代表大会常務委員長を皮切りに、五月には趙啓正・国務院新聞弁公室主任、年前半にも次期首相の最有力候補、温家宝副首相の来日が決定。日本側は年内の小泉首相初の公式訪中を内定している。 中国筋は言う。「九八年の江沢民総書記訪日で一挙に悪化した日本の対中感情を一昨年の朱鎔基訪日でやわらげ、一方の日本側も教科書や靖国参拝でこじれた対中関係を、昨秋の小泉首相の二度にわたる非公式訪中で何とか修復しました。今年を、何としてでも両国関係の仕切り直しの年にしなければなりません」 仕切り直しの焦点は、皇太子の訪中に絞られつつある。九二年の天皇訪中から十年の節目に皇太子を招きたいと中国側はたびたび表明している。日本側は、同じく天皇を招請しながらいまだ実現できないでいる韓国との「バランスを考慮すれば、極めて難しい」(外務省高官)という反応に終始してきたが、ここに来て日本政府内でサッカー・ワールドカップに向け皇太子の訪韓の可能性を模索する動きが一挙に加速している。韓国からの長年の「宿題」を皇太子訪韓で解決することによって、中国とのアンバランスを弱め、その後の皇太子訪中で袋小路に入りつつある対中関係の打開を狙っているのだ。

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