日本の教育の疑問から、サラリーマン二人が学校を作った。夢の学校を開校してから四年――。二人の思いは、どう具現化したのだろうか。 子どもの教育のことで悩む親は多い。学校の現状に不満をもつ人も多い。独自の教育理念をもつ人も少なくない。だからといって、学校を立ち上げてしまう人は、ほとんどいないだろう。 しかし、娘の就学問題を機に教育問題に目覚め、ついには会社をやめて三十代で学校を作った人たちがいる。元コンサルタントの炭谷俊樹さん(四一)と、元エンジニアの松山治邦さん(四〇)だ。二人が始めた「ラーンネット・グローバルスクール」が、一九九八年四月に開校してから約四年。「理想にはほど遠い」というものの、“夢の学校”は着実に成長を続けている。 神戸市内からバスで四十分ほど、くねくねと山道を登っていった六甲山中に、ラーンネットの校舎「のびのびロッジ」はある。銀行の保養所を転用したもので、家庭の延長のような雰囲気だ。現在、小学生と中学生あわせて四十人がここで学んでおり、四月からはさらに十人増える。「学校」と書いてはいるが、文部科学省の基準からすると、ここは「私塾」。そのため生徒の多くは地元の公立校に籍を置いている。だが不登校が十万人を超え、進学のための経路も複線化している現在、文科省の認可はもはや大した問題ではないといえよう。

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