悩める世界の王室

執筆者:藤村幹雄2002年2月号

新宮誕生を機に皇室典範の改正論議が浮上しつつある。世界各国のロイヤル・ファミリーの悩みの種も後継問題。二〇〇二年版世界王室事情。 敬宮愛子さまのご誕生は、久しぶりに明るい話題ではあったが、現行の皇室典範では、女子は皇位を継承できない。皇太子夫妻には早々と「次は男の子を」の期待が高まる一方で、「女帝」を可能にするための皇室典範改正論議も浮上しつつある。 皇室では、秋篠宮を最後に三十六年間男子皇族が生まれておらず、今回の内親王で、紀宮以来九人続けて女のお子さまの誕生となった。四十一歳の皇太子にとって、「男子出産」への期待はさぞ重かろうと拝察される。近代の天皇は、明治、昭和と一代おきに皇嗣の問題が浮上してきたが、皇位継承は君主制に宿命的に付きまとう難題だろう。ネパールの飛び火を怖れるタイ 年末に出版された『世界王室最新マップ』(時事通信社編、新潮OH!文庫)によると、百年前、五十数カ国に上った世界の王制、君主制国家は、二十世紀の戦争と革命の嵐の中で次々に廃絶に追い込まれ、今日、二十七カ国に半減した。二十世紀を生き延びた各国の王室、皇室が二十一世紀に直面する最大の問題は後継者問題である。皇統の維持はいずこも綱渡りなのだ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。