「これでみずほグループのゼネコンも身を寄せる」――。かねてから“業界の許婚”とまで言われてきた三井建設と住友建設が、合併を含めた経営統合に踏み切ることを発表した一月三十日、ある財閥系都銀の幹部はそう確信したという。四月一日に日本興業銀行、富士銀行、第一勧業銀行が「みずほフィナンシャルグループ」として経営統合するのと歩調を合わせ、グループ傘下の債務免除ゼネコン三社が“みずほ建設”結成への道を一気に進むとの観測が日増しに注目を集めていた最中だ。多くの業界関係者が本格的なゼネコン再編時代の始まりを実感したのは確かだろう。 この都銀幹部の確信は数日後、まさに現実へと姿を変え始める。「佐藤工業、ハザマ、飛島が経営統合検討」と謳いあげた記事が大手全国紙の夕刊トップを飾ったのである。ところが――。 その直後に発表された三社のコメントは全面的な否定。とりわけ佐藤工業、ハザマの二社は「そのような事実は“全く”ない」と、公式コメントとしては異例に強い表現をとっている。三井・住友建設が水面下の交渉を一部全国紙にスッパ抜かれ、いったんは否定したものの一週間後に統合会見を開く醜態を演じた直後だけに、確かに「普通の否定の仕方では完全に誤報を打ち消せない」(幹部)との説明も頷けなくはない。

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