そして首相は四面楚歌となった

執筆者:2002年2月号

「立春」の二月四日午後、小泉純一郎首相は衆参両院本会議で施政方針演説を行なった。「小泉内閣に対する支持率が低下し、改革への姿勢が後退するのではないかと懸念する声があります。しかし、私の改革への決意は全く揺るぎません。引き続き改革に邁進するとの決意をもって演説を行ないます」 首相は、閣議決定した原稿にはないアドリブ発言で演説を始めた。引きつったような青白い顔。「春の訪れ」とはほど遠い緊張した空気が首相を、そして議場全体を包んでいた。「内閣支持四九%に急落 外相更迭七割が批判的」(朝日)、「小泉内閣支持率急落五三% 田中氏更迭不支持六八%」(毎日)、「内閣支持率四八%に急落 田中氏更迭七二・五%『支持しない』」(産経)。 この日の全国紙朝刊は軒並み、一月二十九日の田中真紀子外相更迭が引き起こした急激な内閣支持率低下を一面トップで報じていた。一月第二週末のNHK調査で七九%、第三週末の毎日新聞、読売新聞調査でそれぞれ七七%と七七・六%、第四週末の朝日新聞調査で七二%と、一週間前まで続いていた高支持率が一挙に三〇ポイント前後も落ちたのである。永田町の住人が目の色を変えたのは当然だった。 世論はこの先どう動くか。首相はどう出るか。先行きへの期待と不安が政治家のアンテナを最大限に高くさせていた。演説が始まっても、ひそひそ話に熱中する議員が肩を寄せ合う姿は本会議場から消えなかった。

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