イスラム原理主義過激派組織アブ・サヤフの掃討を目的に、米軍とフィリピン軍の合同軍事演習が行なわれているが、米軍が特殊部隊を派遣して本腰を入れているにもかかわらず、はかばかしい成果を上げていない。それもそのはず、フィリピン軍とアブ・サヤフは密接な関係にあるのだ。 アブ・サヤフが使用している主要な装備、小銃や手榴弾はその大半がフィリピン軍から流されたもの。通信装備も同様で、フィリピン軍の通信の一部はアブ・サヤフ側に筒抜けで、現地に展開した米軍の幹部も唖然としたという。 事態を複雑にしているのは、現地での指揮権を握りたがる米軍とフィリピン軍現地部隊指揮官との間の鍔ぜり合い。作戦そのものが立案段階からスムーズに進んでおらず、アブ・サヤフの本拠地であるミンダナオ島南西部のバシラン島で本格的な掃討作戦がなかなか実施できない。アブ・サヤフ側は奇襲攻撃や他の島への脱出など変幻自在で、米軍内では「独自に掃討するしかない」との声も。 だがフィリピンでは外国軍の領土内での戦闘は違憲。米軍はジレンマに陥っており、掃討作戦は失敗するとの観測も出始めている。

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