警視庁公安部の動きが急だ。関係者によれば、公安部外事一課が近くロシア・スパイを書類送検する方針を固め、検察当局と協議を重ねているというのだ。「対象のロシア人は、大使館員ではなく、通商代表部員のようです。所属機関はGRU(ロシア軍参謀本部情報総局)で、既に帰国している。問題の日本側エージェントは、航空自衛隊員らしいのです」(公安筋)。別の筋によると、容疑の対象となる「機密」は米軍に関する情報である可能性が高いが、自衛官は情報を求められただけで、実際には渡さなかった模様。 通常、警視庁公安部が手掛けるスパイ事件が事前に漏れることはほとんどない。尾行と監視を長期間続け、すべての情報を得た上で機密のやりとりをしている最中を急襲するのが捜査の常道だからだ。ところが今回は、摘発を前にエージェントの空自関係者から任意の事情聴取を行なったために、情報が漏れてしまったようだ。 米軍情報をめぐるスパイ容疑となれば、日米露三国の関係は一気に緊迫しかねない。外交関係者は「対テロで米露が一枚岩になっているこの時期になぜ摘発を?」と首をひねっている。

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