武装テロ組織アル・カエダやアフガンのタリバン政権への武器供給ルートとして、ひとりの人物が浮上している。米欧の当局筋によれば、米国の情報機関はクリントン時代から、アラブ首長国連邦を拠点に武器供給を行なっていた旧ソ連軍人ビクトール・ブートの動向を探っていた。 ブートの武器の売却先はタリバン政権やアル・カエダにとどまらない。フィリピンの反政府組織アブ・サヤフ、国連が武器の供給を禁止しているアンゴラの反政府勢力UNITA、さらにはアフガンの反タリバン勢力にも及んだという。だが、実際にはまがい物や粗悪品が多く、最近スペインで逮捕されたブート一味の供述からは、アル・カエダに数百万ドルで偽の核物質を売りつけていたことが明らかになった。ブートは武器と引き換えにダイヤモンド等の稀少資源を得ていたとされる。 米当局や国連がブートの所業をここまで把握しながら放置していた理由には、ブートとCIAの関係も挙げられている。ブートの協力者とされ、二月にベルギー当局に逮捕されたケニア人、サンジバン・ルプラ容疑者とCIAとの過去の接触が疑われているのだ。

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