鈴木宗男衆院議員はロシア政府に北方領土の「二島先行返還論」を水面下で根回しした際、歯舞、色丹返還の見返りとして、「シベリア・極東のインフラ整備」という大掛かりな開発協力をエサにロシア側の同意をとりつけようとしていた模様だ。 二度行なわれたプーチン・鈴木会談やイワノフ前安保会議書記(現国防相)との会談内容は謎に包まれているが、ロシア筋によれば、鈴木氏は二島返還が実現した場合、「ウラル山脈以東の社会的安定と経済基盤整備のため、特別の開発協力計画を実施する用意がある」と持ちかけていたという。 鈴木氏自身内輪の席で、「ロシアは日本の政府開発援助(ODA)対象国ではないが、ODAとは別枠でインフラ整備基金を拠出すべきだ」と述べていた。これが二島返還の誘い水だったと日本外務省のロシア担当者もみている。プーチン大統領が二島返還に関する五六年共同宣言を正式確認したのは、このインフラ整備協力に関心を示したためとみられている。 計百億円に上る北方領土支援事業もODAと別枠で拠出されたが、シベリアのインフラ整備は巨額の投資であり、鈴木氏はその利権も視野に収めていたようだ。

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