ローマ法王ヨハネ・パウロ二世(八一)の健康状態がこのところ一段と悪化、バチカンでは「Xデー」の準備が秘かに開始された模様だ。 バチカン内部の消息筋が語ったところによると、ヨハネ・パウロ二世の主治医の一人は、法王は持病であるパーキンソン病が今年に入って急速に進み、治療もほとんどできない状態になったのに加え、悪化した右ひざの関節炎の手術も難しいとの報告書を作成。報告書は次期法王の選出に関わる枢機卿団に提出され、協議が行なわれたようだ。 協議で何が話されたかは全く漏れてこないが、それ以後、バチカン内部では、次期法王の最有力候補と目されるミラノ大司教のマルティーニ枢機卿周辺を中心にあわただしい人の動きが見られたという。同消息筋は「法王に万が一のことがあった場合や病気悪化による執務不能など、Xデー到来を想定した準備作業に取り掛かった」と推測している。 法王は、三月下旬の復活祭では一九七八年の即位以来初めて、重要な幾つかの儀式を挙行することができなかったほか、最近では人の手を借りずに身動きできないほど健康が衰えている。

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