中国の江沢民総書記の今秋訪日が実現の可能性を増した。九八年の訪日では歴史問題に言及し続けて大きなしこりを残し、中国でも「失敗だった」との評価が定着。昨年も訪日の機会を探ったが「日本の首相が訪中する番」と中国外務省が反対、実現しなかった。今回は、小泉首相が九月をめどに公式初訪中する意向を表明、中国側も十月訪日の方向で調整に入った。 訪日に積極的なのは、対米戦略上、対日関係改善の必要性が高まっているためだ。米政権の対中強硬姿勢に対し党内では反感が募る一方。中米間がさらに緊張する事態に備え、「日中が衝突しても双方が傷つくだけと訴え笑顔を前面に出す。中米緊張の局面で日本が全面的に米国に追随する可能性を除去したいのです」(国務院幹部)。 焦点は、今年も小泉首相が靖国神社に参拝するかどうか。夏頃の訪日が見込まれる温家宝副首相は年の後半の予定を前倒しした。参拝への反発を受けて「訪日をキャンセルする事態は避けたい」(同幹部)からだという。中国外務省は江訪日に向け、「参拝するにしても、八月十五日は外す」との言質を得ようと動き「自民党中枢から前向きな回答を既に得た」という。

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