冷戦期に旧ソ連と北朝鮮との間で行なわれていた「労働バーター貿易」が、いまだに行なわれている。数千人にのぼる北朝鮮の労働者が秘密裏に、ロシアに大挙して働きに出ているとみられるのだ。 昨年夏、金正日朝鮮労働党総書記は、旧ソ連時代の対露債務五十五億ドル(約七千百五十億円)を今後三十年間で返済することでロシアと合意した。北朝鮮の経済力からすれば債務は莫大であり、そのため、「北朝鮮は返済にあたり、自国の労働力を提供する形で支払う計画だ」とロシア政府筋は説明する。数千人の労働者が送り込まれると予想されるが、すべて無償労働になるという。 ロシア消息筋によれば、彼らの「勤務地」は極秘。一般の人間が決して立ち入ることのできない作業場を設け、両国の治安要員が厳重に警備する中で樹木の伐採などを行なうようだと語る。 北朝鮮には過去にも、対外債務返済のため、極東・シベリア地域などへ労働力を提供してきた「実績」がある。二〇〇〇年には約五千万ドル(約六十五億円)の債務を労働力の提供で返済したとの情報もあり、今年以降、労働者の数は増加するものと思われる。

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