大企業経営者の新世代「新浪剛」に注目せよ

執筆者:喜文康隆2002年5月号

「権威の価値が損なわれないためには、責任のとり方が時間的に非連続な形で行われなければならないように思われる」(『組織の限界』ケネス・J・アロー)     * ローソンの次期社長に三菱商事出身の四十三歳の新浪剛が就任することになった。三菱商事が選択したこの人事が、低迷続くローソンを救うか救わぬかは分からない。しかし、いずれにせよ日本の大企業経営者のあり方を根本的に変える時限爆弾であることは間違いない。 失われた十年といわれながらも、株主のあり方が変わり、従業員とミドルのあり方も変わりつつある。最後まで残っていた「経営者」も、変わっていかざるを得ない。経営者の強制的若返り 日本の株式会社制度の転機をつげる人事が、日本最強の財閥グループの中核会社である三菱商事によって成されたことは象徴的だ。 製造・販売の一体管理など「中抜き」が進み、「商社不要論」も公然と叫ばれる時代に、業界ナンバー1の三菱商事も無縁ではいられない。社長である佐々木幹夫が選択した商事再生策は、IT(インフォメーション・テクノロジー)と小売り分野への積極的な業務展開をはかりつつ、化学品分野を筆頭に「五五年体制の残滓」ともいえる分野の損切りを強行するものだった。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。