中国の対台湾政策の実務責任者、陳雲林・党中央兼国務院台湾工作弁公室主任(党中央委員)が四月十五日から二十日まで極秘裏に来日した。日中国交正常化三十周年に来日しながら、一切公表せず日本側要人にも会わなかった背景をめぐり憶測を呼んでいる。 陳主任は十七日に在京大使館で東京や横浜の華僑総会会長ら九人の華僑代表と、十八日に大阪入りし総領事館で大阪・神戸の華僑代表と会見したが、それ以外の行動は確認されていない。会見では一月の銭其シン副首相の台湾政策に関する講話を配布、説明したという。 中国筋によると、陳主任の当面の最大の任務は、台湾寄りの姿勢を強める米ブッシュ政権の牽制と日本の対米追随を防ぐこと。超党派の米下院議員八十五人が四月、「米台議員連盟」を結成し、陳水扁総統の訪米を画策するなど台湾の国際的地位の向上に動き始めたことに、中国は極度に警戒感を募らせている。日本でも同様の動きが起きた場合、日本国内で世論形成に影響を及ぼすことのできる華僑の力はますます重要になってきている。改革・開放以降に来日した新華僑への影響力保持策についても意見を聴取したとみられる。

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