[テヘラン発]保守派と改革派の角逐が続くイランで三年後の次期大統領選挙をにらんだ水面下の駆け引きが早くも始まっている。日本や中国はハタミ政権下でイランへのエネルギー依存を強めつつあるが、イラン改革の命運は次期大統領のかじ取りが大きく左右することになる。「改革を進められないなら辞任しろ」。昨年末、テヘラン大学でのハタミ大統領(一九四三年生)の演説には学生らが手厳しい批判を向けた。昨年六月に再選を果たした大統領には、進まない改革と経済停滞を背景に失望感が強まっている。「次回選挙では、改革を進められる力強い候補者に票を投じる」とテヘラン市内の大学生(二五)は言う。国民の期待は早くも次期大統領に寄せられている。 ポスト・ハタミとして最近、急浮上しているのが改革派のカルビ国会議長(一九三七年生)だ。今年初め、改革派議員の逮捕・収監に抗議して国会から退場、異例の行動で最高指導者ハメネイ師による恩赦を引き出した。議場退出のパフォーマンスは「次期大統領選挙をにらんだ動き」と地元記者は解説する。 同様にハタミ路線継承者として注目されるのがモハジェラニ元文化イスラム指導相(一九五四年生)だ。国際的に高い評価を受けるイラン映画が花開いたのも同相の在任中の文化奨励政策が一因となっている。保守派の圧力で二年前に辞任に追い込まれたが、こうした姿も改革派支持者には頼もしく映る。妻のジャミレ・カディバル国会議員は「意思を固めるのは時期尚早」といいながら、出馬を検討していることを示唆している。

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