レバノンで亡命者扱いを受けている日本赤軍の岡本公三元受刑者が、最近、イスラム教シーア派民兵組織ヒズボラの保護下に置かれているという。ベイルートの外交筋は「ヒズボラは“アラブの英雄”オカモトを組織固めに利用しているのではないか」と指摘する。 ベイルートで逮捕された他の赤軍メンバー四人が日本に引き渡された二年前、岡本だけが政治亡命を許されベイルートに残った。二十六人の命を奪い、約八十人を負傷させたロッド空港乱射事件から三十年を経たいまも、岡本はアラブ社会では英雄視されており、亡命後もレバノン人の若者グループが支援組織をつくり、生活面の世話などを行なってきた。 ここにきてヒズボラが支援に乗り出したのは、親イスラエルの米政府がテロ組織ハマスとともにヒズボラの存在に重大な懸念を持つに至ったという背景がある。米国が本格的に掃討に動けばヒズボラも一気に窮地に陥るからだ。 日本政府は赤軍残党や支援者の動きをウォッチするため、在レバノン大使館に警察庁派遣の領事を置き続けている。岡本をヒズボラに政治利用されると、身柄の引き渡し交渉が複雑化するなどのやっかいな展開に陥るおそれもある。

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