「サラ金銀行」が出来る日

執筆者:2002年7月号

絶好調を続ける消費者金融会社が、銀行業への参入を狙っている。「サラ金銀行」が誕生すれば、預金金利二―三%も可能だ。信用もブランド力も地に堕ちた既存銀行よりは、少しはまともな金融会社が出来るかもしれない……。 不良債権問題に揺れる銀行を横目に、消費者金融会社は相変わらずの高収益体質を保っている。金融再編でも台風の目となりつつある消費者金融会社が、次に狙う事業分野の最有力候補はほかならぬ銀行。「サラ金銀行」が誕生すれば、個人マネーの流れは大きく変わり、既存銀行の存在意義を一気に危うくする可能性を秘めている。「みずほ」を狙った武井氏 消費者金融最大手、武富士の新社長に野村證券OBの清川昭氏が六月末に就任することが決まった。創業者で会長、社長を兼務する武井保雄氏は会長専任となる。清川氏は野村證券専務のほか、野村信託銀行、野村アセット・マネジメントなど野村グループ中核企業の社長をつとめたエリート。だが、武井氏がスカウトしたという清川氏が当初から社長候補の本命だったかというと、そうではない。 武井氏周辺を探ると、武井氏が狙った“ブランド”は「野村」ではなく「みずほ」だった。清川氏よりも前に、みずほフィナンシャルグループの複数の幹部に武富士社長への就任の打診があった。

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