ロシアのプーチン大統領とカシヤノフ首相。車の両輪となって経済再建に邁進するはずの両首脳だが、実際には早くも二〇〇四年春の次期大統領選挙に向けて火花を散らし始めた。 最近、両者はインターネットのウェブサイトを相次いでリニューアルし、“IT戦争”が始まったと揶揄されている。最初に仕掛けたのはカシヤノフ首相。プーチン政権で不遇をかこつようになった新興財閥の声に耳を傾け、「いまではほとんどの財閥がカシヤノフ支持」(クレムリン筋)とまで言われる。夏を前に「政府」のウェブサイトを一新したが、「中身はこれまでの首相の成果に対する礼賛ばかり。選挙をにらんだ個人的サイト」と評されている。 首相の台頭を苦々しく思うプーチン大統領陣営も、その一週間後に「大統領サイト」を更新。新聞やテレビを使って大々的に広報し、インターネットを通じての宣伝戦を真っ向から受けて立つ構えを示した。 大統領と首相がいがみ合っている場合ではないとの政界の指摘を受け、当面は休戦することで手打ちが成立したようだが、選挙が近づくにつれて再び確執が強まるのは避けられそうにない。

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