「鈴木宗男問題」による混乱もあって日露間の政治・経済関係はすっかり冷え切っているが、防衛・安保交流は、かつてなく順調に進展している。 四月、統合幕僚会議とロシア軍参謀本部のスタッフ・トークス(幕僚対話)が東京で行なわれたのを皮切りに、五月にミハイロフ空軍総司令官が来日、翌六月には、中谷正寛陸上幕僚長が訪露した。陸幕長の訪露、空軍総司令官の来日はソ連時代から通じて初。 また七月中旬、ロシアのトツキー国境警備局長官が来日して密漁取締まり問題を協議。今年後半には、十月の海上自衛隊創設五十周年式典にロシア太平洋艦隊から三隻が東京湾などを友好訪問することが予定され、中谷元・防衛庁長官の訪露も年内実現の可能性がある。ほかにも防衛大学校とロシア士官学校の交流や佐官級の日露防衛共同作業グループ会合など、メニューは盛りだくさん。両国は意外なところで関係を強化していたのである。 一連の交流は九九年に締結された防衛交流覚書に沿うものだが、中国への脅威感が日露防衛交流を活発化させているとみられる。在京の中国武官はこうした動きに神経を尖らせている模様だ。

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