偉大なる有識者様たち

執筆者:2002年9月号

 この国には「有識者」という名の世にも珍しいすばらしい才能を持った人たちがごくわずかだが棲息している。見かけはわれわれ凡人とさして変わったところはないが、その能力たるや、凡人の想像の域をはるかに超える。 この国にも一応は議会というものが存在するし、政府もあるにはある。しかしながら、あまりにも能力が低いために、国家運営の大事なことはすべて「有識者」様にお願いして決めてもらうのである。 有識者様がどれだけ優秀かといえば、何十年もの間、その道一筋で生きてきた専門家の知識や経験と同等レベル、もしくはそれ以上の水準のものを瞬時にして身につけることができるのである。そればかりか、世間が気に入るような決断をたちどころにしてみせるのである。 有識者様にはおおむね、二種類の人たちが存在する。社会的に功成り名を遂げた一丁上がりの人たち。過去の栄光でかろうじて生きているだけだから、さして知恵はないが、この国では重要な意味を持つ「座りのよさ」がある。 高齢の紳士かもしくは女性である。女という理由だけでこのグループに存在しているような女性もいる。もう一種類の人たちは、過去に何をしてきたのか判然としない、いわば得体の知れぬ人たちだ。そういう人たちを、決して胡散臭いなどと言ってはならない。既成の価値観を超越した生き方をされてきた方々、と言わねばならない。

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