隣国ロシアとの関係がしっくりいかないグルジアが、NATO(北大西洋条約機構)加盟に向け布石を打ち始めている。その一つが、九〇年代に米軍の統合参謀本部議長を務めたグルジア系のシャリカシビリ氏(六六)を米国から呼び寄せ、二〇〇五年に二期目の任期が切れるシェワルナゼ大統領の後任に据えようとする動きだ。 グルジア国家安全保障会議は八月、NATO加盟を国策として決定し、準備を開始。これを機に、議会の中からシャリカシビリ氏待望論が高まり、大統領選出馬の前段として来年の議会選挙への立候補を要請する見通しとなった。 同氏はグルジア系移民二世。米軍のエリートコースを歩み、NATO軍最高司令官から米統合参謀本部議長にのぼり詰めた経歴の持ち主。同氏が大統領なら米軍やNATOの支持も得やすく、NATO加盟で予想されるロシアの妨害も乗り切れるとの計算がある。 グルジアは国際テロの温床となっているロシアのチェチェン共和国に隣接し、黒海への石油積み出し地としても戦略的な意味をもつだけに、米国も「シャリカシビリ大統領」の実現に強い関心を寄せているという。

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