二〇〇八年に北京での夏季五輪開催が決まっている中国で、黒竜江省の省都、ハルビンに二〇一〇年冬季五輪を招致する構想が急浮上している。すでに黒竜江省の宋法棠省長が外国メディアに対して立候補の意思を表明、中国五輪委員会など政府も支援する姿勢を示している。 ただ、スキー、ジャンプ、スケートなどの競技場は未整備で、来年夏に予定されるIOC(国際オリンピック委員会)総会で開催地に選ばれる可能性は低い。中国側としてはその次の二〇一四年大会あたりに実際の照準を向けているようだ。中国側は日本が一九六四年に東京で夏季五輪、七二年に札幌で冬季五輪を開催、それらが引き金になって経済大国の道を歩んだことを重視しており、「夏季五輪の後、十年以内に冬季五輪開催」を構想しているという。 黒竜江省はじめ中国東北部は改革の遅れた重厚長大型の国有企業が多いため、この地域の経済活性化策にオリンピックはうってつけ。かつて工業発展の牽引車となった大慶油田でもリストラされた労働者の抗議活動が続いており、五輪景気を「早く演出したい」という政府の本音もあるようだ。

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