オリックスが今年度から三年間で千人の中高年を派遣社員として採用し、国内のグループ会社で活用する計画を打ち出した。豊富な経験を積んだ熟年層を柔軟に経営に取り込もうとの発想で、ここ数年リストラで企業からはじき出される一方だった世代には朗報と言える。もちろん同社は、日本の失業率の高まりを気にかけた結果の慈善としてこの施策に踏み切ったわけではない。そこには宮内義彦オリックス会長らしい合理的な戦略が垣間見える。 オリックスの中高年採用の仕組みはこうだ。同社が五千万円の資本金を一〇〇%出資して設立した派遣会社、オリックス人材(東京・港区)が派遣で働きたい五十―六十歳代の人材を外部から募って登録。オリックス本体のほか自動車リース、消費者金融、証券、プロ野球球団など国内にあるグループ四十社に送り込む。 営業や経理、財務など職種は問わず、幅広く門戸を開く。個人の事情に応じて「隔日」「週に数時間」など勤務形態にも自由度を持たせる。正社員に比べ安いコストで即戦力を手に入れる目的があるが、専門的な金融ノウハウを持つなど高く評価できる人材には高額の時給を設定する。単純作業を中高年に押し付けるといった趣旨ではないという。

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