サッカー・ビジネスに異変が起きている。ワールドカップ(W杯)直後にもかかわらず、今年の移籍市場は何かおかしい。イングランド代表のリオ・ファーディナンドが五十七億円という移籍金で、英マンチェスター・ユナイテッド(マンU)に移るビッグニュースはあったが、それ以外に高額のマネーが飛び交うトレードがない。 契約期間中にもかかわらず移籍金ゼロ――。W杯で優勝したブラジル代表のリバウドは七月末、フリーエージェント(自由契約)という形で、スペインのバルセロナからイタリアのACミランに移った。年齢は三十歳、今が選手としてピークにあるとはいえ、知名度、実力から考えれば、過去のベスト10に入る移籍金が動いてもおかしくない。それなのにバルセロナは二〇〇三年まで残っていた契約を破棄し、自由契約にした。契約期間を残してリバウドを移籍させ、移籍金を手にするこれまでのやり方を選ばなかった。 しかも、リバウドはミランとの間で推定年俸五億三千万円で三年契約を交わした。バルセロナにいた時の年俸(約七億八千万円)よりも三割低い水準である。マンU所属のスーパースター、ベッカム(イングランド)がW杯直前に三倍増の年約九億円で契約更改したのだから、もっと高い年俸をもらってもよかったはずである。

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