民主党が迎えた最後の党首選

執筆者:伊沢智2002年10月号

危機感を抱いた若手による「反乱の波」はとうとう高まらず、ましてやまともな政策論争は皆無。「政策なき政党」の代表選挙は、あとにしこりと分裂の導火線だけを残した。 三カ月余りにわたって繰り広げられた民主党代表選は、昨年、小泉ブームを起こした自民党総裁選とは対照的にダイナミズムを欠いたまま、二十三日の投票で終幕を迎えようとしている。政策や党の体質をめぐる問題を克服できずに突入する新体制の未来は決して明るくない。 ある経済官庁の中堅幹部は民主党代表選をこう論評した。「いまさら、横路(孝弘)さんが出てきてもね。何をやってるんだか、という感じですよ。たとえば、民主党が『都市政党だ』と特化してみせれば、自民党との違いを明確にアピールできると思うんです。『都市で集めた税金を地方にばらまく政治はやめる』と宣言できれば、サラリーマンの支持を集めると思いますがねえ」 代表選に手をあげた面々は「政官業の癒着構造打破」と異口同音に叫んでいる。だが、経済不振と社会を覆う閉塞感を打破するには日本社会の全般にわたる構造を改革しなければならないのは常識である。この幹部は、民主党はこうした危機意識に応えておらず、「顔ぶれ」も魅力に欠けているというのである。

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