国連の経済制裁によって国際航空便の乗り入れが禁止されているはずのイラクだが、「アラブ諸国との間を民間機が頻繁に飛んでいる」(在京のアラブ筋)との情報がある。今春ごろからイラクのバグダッドとカイロ(エジプト)、アンマン(ヨルダン)、ダマスカス(シリア)の各空港を結んで旅客機が不定期で飛んでいるというのだ。 イラクは一九九〇年のクウェート侵攻に対する国連決議で国際便乗り入れを含めて外国との取引を全面的に禁止された。決議は正式に解除されてはいないものの、ここ数年はレバノンやシリア、イランの闇ルートからあらゆる物資がイラクに入り始めている。 だが、国際便の復活に対する国際社会の姿勢は厳しく、米国などはイラク領空の南北に飛行禁止空域を設定し、これに違反した時は容赦なく撃墜。また、米英軍機は九月初旬にイラク西部の防空施設を空爆したばかりだ。 これに対し、「米国はアラブ各国の民間機の飛来には目をつむっている様子」(同筋)で、米国のメディアなどがこの事実に触れないのは、イラクとアラブ諸国の関係修復をアピールしてしまうことになるからと見られている。

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