イラクがユーゴスラビアのミロシェビッチ前政権下で核兵器開発計画に取り組んでいた科学者らを自国に亡命させ、核開発に従事させているという有力情報がある。 イラク問題に詳しいニューヨークの国連外交筋が明らかにしたもので、ミロシェビッチ前大統領と友好関係にあったフセイン・イラク大統領は、ミロシェビッチ大統領が失脚した直後の二〇〇〇年十月、ベオグラード近郊の原子力研究施設などで働いていた科学者や技術者数十人をエジプト経由でバグダッドに亡命させることに成功。この科学者たちは十年後の母国帰還と破格の待遇を約束され、イラク国内で核開発に協力しているといわれる。 ミロシェビッチ政権は九〇年代前半から、核兵器搭載可能な長距離ミサイルの開発などの研究を熱心に行なっており、フセイン大統領はユーゴの核兵器開発能力を高く評価していたようだ。ユーゴ政府は八月、高濃縮ウランを含有する六千本の核燃料棒をロシアの核処理施設に引き渡したと発表したが、一部の燃料棒が亡命科学者とともにイラク側に持ち去られた可能性もある。

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