粉飾会計を防ぐため導入された米企業会計改革法に、ニューヨークに上場している日本の大手企業があわてふためいている。 同法は、財務諸表が真実であることを宣誓した書類を米証券取引委員会(SEC)に提出するよう義務づけ、粉飾決算や書類廃棄などに二十年までの禁固刑または五百万ドル(約六億円)までの罰金を科す。内部告発を奨励する規定もある。 しかも、罰則は宣誓書に署名した最高経営責任者(CEO)や最高財務責任者(CFO)個人に適用され、些細な事実誤認や記入漏れが、意図的かどうかに関係なく、違反の構成要件になりうるという。「部下がやった」では済まされないのだ。有罪の場合も訴訟保険が適用されず、罰金は“自腹”で払わねばならない。 で、特に戦々恐々としているのが、都銀で唯一、ニューヨークに上場している東京三菱銀行(三菱東京フィナンシャル・グループ)。決算発表の度に当初見込みよりも額が膨らむ不良債権を理由に、「役員が粉飾決算を容認した」と解釈されかねないからだ。「日米犯罪人引き渡し条約に則って頭取が米国に護送される」事態も、あながち冗談とは言い切れない。

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